2019年の後半から肺炎を引き起こす謎のウイルスが拡散しているというニュースが毎日のように出始め、2020年の春には本格的にマズいぞということで「移動」が制限されるようになりました。それ以来というもの国内外を自由に移動できない日々が2022年まで続いていましたが、未知であったウイルスに対する理解も深まり、急速に開発が進んだワクチンの接種も世界中で進められたことで、社会は次第に活動再開に向けて動き出しています。
2022年度にもなると各国の渡航制限、国内移動制限も複数回のワクチン接種など諸条件のもとに解除されつつあり、観光での入国であっても認められるようなところが出始めています。今回はコロナ禍以降、久しぶりに日本を出入国したので参考までにその際の状況を記録しておきます。状況は刻々と変化しているため、これまでやこれからと同じではないことは言うまでもありません。出入国手続きの詳細は各国政府の情報をご確認ください。
出国まで
今回の出国は成田からです。普段は京成本線でゆっくり向かうのですが、荷物もそこそこ多く、普段とは異なるコロナ時期の出国ということで、手続きにどれだけ時間を要するか分からないため、スカイライナーを利用して早めに到着するようにしました。調べてみると2022年2月のダイヤ改正から青砥駅が正式停車駅になったようです。1時間に1本、毎時30分頃に出るようです。
ということで青砥駅のホームの端に設置されている券売機でライナー券を購入しました。乗車できる車両は限られており、ホームの中間あたりの位置に移動してしまうとそこからは乗れないため、黙って券売機付近で待機するのがよいです。乗り込む際にはライナー券の確認があります。
券売機で座席の状況を確認するとガラガラで、実際に乗り込んでみても1車両に客が数人いるかどうかという程度でした。利用者側からすると快適でありがたいのですが、運行会社の経営が心配になります。早く観光客が戻るといいですね。
スカイライナーは新幹線のように座席に電源あり、車内には無料 wifi も飛んでいます。上野から乗って45分もあれば成田空港に到着するため、電車内で作業するには早すぎて困るほどです。これまでスカイライナーは全然使っていなかったのですが、全体的に快適なので普段から使うのもアリだと思いました。
成田空港で改札を出ると閑散としています。ポケット wifi や電話のレンタルは営業しているようですが、全体的に暗い雰囲気です。エレベーターに向かうとフロア案内が紙で上書きされており、3F に PCR 会場ができていました。国際線出発の 4F ショッピングフロアはほぼ閉店しており、ごく一部のレストランや土産店しか開いていません。出国前なので今回は食べませんでしたが個人的には唐朝刀削麺がまだ続いているのが嬉しい。
出発のカウンター付近は多少人が集まっているものの、普段と比べると圧倒的に人が少ない。受付開始待ちで多少の列は形成されているものの、全体的に人はいません。カウンターも全て開いているわけではなく、ビジネス・エコノミーの別もありませんでした。チェックイン端末で発券した後、baggage drop 前で係員にパスポートと搭乗券のほか、ワクチン接種証明(紙又はアプリで呈示)や渡航先で必要とされる各種アプリの呈示を行い、OK が出たら荷物を預けることができます。
保安検査から出国まではほとんど人がいませんでした。順番待ちもないので新調してから全く使っていなかったパスポートに自動化ゲート用の指紋登録を行いました。紙を1枚書いて10分くらい待てばすぐに利用可能です。
出国後の免税品店は通常どおりの営業に見えました。AKIHABARA は開いています。しっかり確認していないですが飲食店は営業状況が様々だったかもしれません。航空会社ラウンジは営業場所を制限しているようで、人によっては搭乗ゲートから遠いところしか使えない状況です。
渡航先
ここは各国の対応状況によって異なると思いますが、今回は渡航先での入国手続きは特に面倒なものもなく、通常どおりの入国プロセスでした。以前と異なる点としては入国時の端末操作でコロナに関係する質問事項や虚偽申告時の罰則などに関する警告が追加されていた程度です。症状を隠していたり虚偽の情報を提出していたりしなければ問題ありません。
街中の雰囲気を見ているとコロナに対する警戒心はかなり薄れているようで、経済活動も再開しています。空港からの公共交通機関ではさすがに感染対策が徹底されていますが、外を歩いている人のマスク着用率は1/3程度といった印象です。施設によってはマスク着用義務も撤廃され始めている一方、レストランの入店時にはワクチン接種証明の提示が求められるなど、メリハリのある対策ができていると思いました。
日本に帰国するためには、出国前72時間以内に所定の検査を受けて検査証明書を発行してもらう必要があります。検査証明書には指定のフォーマットがあり、検査方法の指定や検査証明書に必要な記載事項も定められているため、きちんと対応してくれる現地の医療機関を探しておく必要があります。
採取する検体は鼻咽頭・鼻腔ぬぐい液(鼻に棒を突っ込むやつ)や唾液で採取する必要があります。検査方法については antigen や RAT では不可です。鼻咽頭ぬぐいは検体採取者の腕前によって、すごく激しい人から意外と楽な人もいます。検体採取で鼻にダメージを受けて有症状になった悲しい話も聞いたことがあります。ちなみに今回は鼻腔ぬぐいの short swab だったのでムズムズするだけで苦痛はありませんでした。
渡航先での出国手続きは入国同様、特筆すべきものもなく、ごく普通の出国プロセスでした。空港のレストランや土産店も営業しており、マスクをしているかどうか程度でコロナ前とあまり違いはありません。
帰国後
航空機の着陸後は乗継客と入国客で別々に降機します。何度も放送で案内が流れているのですが相変わらず全く話を聞いていない客がおり、乗継でない客が我先に下りようとして無駄なやり取りが発生していました。順番待ちは20分もかからなかったと思います。
降機後は事前に Web で手続きを完了している人向けの「ファストトラック」列と、その他に分かれて列を形成します。到着してから質問票や宣誓書を記入し、必要なアプリをインストールしていると何時間かかるのか分かりませんし、実際に通常入国コースは大行列になっていたので、ファストトラックの利用を推奨します。ただし、後述のとおりファストトラックだからとてもスムーズなのかというとそういうわけでもありません。通常列よりは早いという程度ですが、とはいえ確かに時間の節約にはなります。
厚生労働省:検疫の入国前WEB手続「ファストトラック」のご案内
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_24332.html
成田では44番ゲート周りに一連の流れが作られており、列に並んでいれば各種手続きを順に踏んで進んでいくことになります。その場にいた係員によると最大4時間くらいかかるとのこと。このときは「そんなにかかる場合もあるんだ」くらいにしか思っていませんでしたが、最終的にはそれくらいの時間がかかりました。動く歩道の脇に椅子が並べられており、順番待ちの列が少し進んでは止まってを繰り返す渋滞状態でした。
近くにいた白髪のジジイは係員の女性に対して「列がコントロールできていない」などと意味不明な文句を言っており、相変わらずどこに行っても害悪だなと思いました。連れがいたのでイキってしまったのでしょう。列が少しずつ進むのを黙って待つしかありません。また、某自動車会社勤務であろうおばさんは、自分が出国前に受けた PCR 検査が時間ギリギリだったことと、日本にあまりいないので電車の乗り方が分からないという話を連れと延々と話していたので喋るのをやめると呼吸できないのでしょう。振り返り昼はどこの列にも存在します。アゴマスク生物は世界共通です。
検疫書類・MySOSアプリ確認が行われます。簡易で作られた窓口は全部で8箇所あり、パスポートと搭乗券の確認、到着後の旅行先などについて簡単な質問を受けます。必要書類を準備していなかったり、外国人とのやり取りで時間を要する場合もあるのでこれが渋滞の原因になっているようです。
次に抗原検査の列に移ります。抗原検査の待機列でもアゴマスク、下唇マスクがたくさんいるので普通に阿呆なのだろうと思いますが、どこにでも無限に湧いてきます。某おばさんは連れと別れて1人になりしばらく黙っていましたが、耐えられず近くの米海軍(この後沖縄に行くらしい)に話しかけ始めました。喋るのをやめると呼吸できないのでしょう。
抗原検査の検体として唾液1 mL を提出します。検体採取キットをもらったら各自壁に向かって唾液を出そうと頑張るのですが、泡なしの液体部分だけで1 mL 出そうとすると結構難しいです。壁にはレモンと梅干しの写真が貼ってあったのですがほとんど効果はありませんでした。他に助言として貼られていた唾液腺マッサージが有効でした。検体の定量は係員が確認しますが、1 mL 線ギリギリでもだいたい大丈夫か!という感じでした。
その後はまた列に並んで係員とともに MySOS アプリの設定確認を行います。ここまでくると窓口ではなくその辺の椅子に分散して説明を受ける形になりました。スマホを提出してアプリの設定確認をしてもらうのですが、つまりは位置情報や撮影の許可設定を自分でできない人がいるということなのでしょう。
さらに下のフロアに移動し、先ほど設定した MySOS で表示する QR コードを読み取り、搭乗ゲート前の椅子に座席指定を受けて抗原検査の結果を待ちます。ここまでくるとトイレと自販機、テレビがあります。つまりここまで降機から2時間以上の流れにはトイレがありません(絶対に漏れそうなら列を抜けて戻る勇気を出しましょう。漏らすと MySOS になります)。
抗原検査結果は陰性結果が出た番号から放送で流れるのですが、番号を一度読み上げるだけなので周囲がガヤガヤしていると聞き逃すレベルです。病院やファストフード店のように呼び出し番号の画面表示があると便利だと思いました。陰性でなかった人は番号も読み上げられないらしく、どういう扱いを受けるのか不明です。別室にでも連れ去られるのでしょうか。最初は音量設定が小さかったのか、数十分間経ったあたりで日本語・英語放送もしっかり聞こえるようになりました。
検査結果が出た順に呼び出されるので必ずしも番号の若い順に次に進めるというわけではありません。ロットごとに結果が出るのでおおよそグループ順に呼び出されます。
ここあたりで MySOS アプリを開くと既に入国データが反映されており、事前登録で緑色になっていたアプリが赤表示に戻っていました。アプリ上のアイコンも変更されており、現在地や健康状態の報告ができるようになっています。
ここまでで着陸から約3時間です。さきほど列のコントロールができていないと喚いていたジジイは今頃になって座席指定を受けていました。つまりファストトラックとそうでない人で、数十分程度の差が出たことになります。日本入国時は検疫のファストトラックが利用できるよう事前に準備しておきましょう。
無事陰性で番号が呼ばれたらエスカレーターを上がり、ANA ラウンジへ向かいます。抗原検査陰性の紙を受け取り、そのままラウンジ入口から脇の通路を抜け、長い動く歩道を通って、いつもの検疫へ。ここで先ほど受け取った抗原検査結果の紙を提示して入国審査(自動化ゲート)、さらには税関といつもの入国手続きに戻ります。
最近の税関はあの黄色い申告用紙を書かずとも、アプリ化されているため事前に申告準備ができるようになりました。有人の税関カウンターに向かって右手側に自動化ゲートが新しく設置されていました。ここで旅券と税関アプリの QR コードを読み込ませるとそれだけで通過できます。荷物を持ちながら旅券を動かさずに読み取らせつつ、隣で QR コードを読ませ、マスクを外して顔認証させる必要があるのが難関です。搭乗券、抗原検査結果用紙、MySOS アプリの説明書などのうち不要なものはしまっておかないとゲート内でもたつきます。さらに次のゲートでもう一度顔認証を行い、問題なく開けば到着ロビーに出ます。ここでもマスクは外さなければなりません。
まとめ
- 成田空港は全体的に空いており多くの店が閉まっている。土産屋など一部営業している店舗もある。出国後は比較的開いている店が多い気がする。
- 日本入国前の MySOS アプリのインストール、ファストトラック利用準備はしておくべき。ついでに税関アプリも入れておくとよい。
- 着陸から4時間弱はかかるのでそういう前提で行程を考えておきましょう。トイレは着陸前に機内で済ませておくこと。
- 黙って列に並ぶ、普通にマスクを着用できるよう練習しておきましょう。
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