温泉と鉱石(?)
数多あるうちのごく一部ではありますが、昨年は東北の温泉を回りました。主に北東北(青森・秋田・岩手)周辺でしたが、山中の小さい日帰り温泉なんかだと他の都道府県に比べて圧倒的に入浴料が安いのが魅力です。回数券を購入するとさらに安くなるのも普通ですから、毎日通うにもハードルが下がります。
地方の小さな温泉にはあまりないかもしれませんが、ちょっとしたビジネスホテルや寧ろ高級っぽい雰囲気を出している温泉宿に行くと置いてあるのが怪しい鉱石。
まず温泉とは何かについて確認しておきましょう。
地方の小さな温泉にはあまりないかもしれませんが、ちょっとしたビジネスホテルや寧ろ高級っぽい雰囲気を出している温泉宿に行くと置いてあるのが怪しい鉱石。
「当館では〇〇鉱石を使っており、これは~~に効果があるとされています」という、健康の表示に関する何らかの法令に触れるのではないかとこちらが心配になるようなことが書かています。
温泉とは
温泉の定義は温泉法で定められています。
e-Gov:温泉法
第二条 この法律で「温泉」とは、地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他ガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)で、別表に掲げる温度又は物質を有するものをいう。
温度と溶存物質量に基準があり、「別表に掲げる温度又は物質を有する」とあることから、どちらかでも満たしているものは温泉とされることになります。別表は温泉法の一番最後に書かれています。この規定の温度又は溶存物質量を満たしていなければ温泉とは呼べないことになります。
国センの調査例
国民生活センター - 風呂に入れるだけでラドン・ラジウム温泉になるとうたった商品
http://www.kokusen.go.jp/test/data/s_test/n-20100421_1.html
巷には怪しい商品が溢れています。なかなかそのような商品を購入する機会はないと思いますが、実際に使った人から「効果が実感できなかった」などの相談が相次いだため、国センが「浴槽に鉱石やセラミックボールを入れるだけでラドン温泉・ラジウム温泉になる」と謳うインターネット上の販売商品を調査しています。
詳しくは国センの報告書 pdf も公開されているのでそちらを見ていただくとして、結論としては「家庭の浴槽に鉱石やセラミックボールを入れても、ラドンやラジウムが溶け出してこないものであり、温泉法の基準には大きく及ばない」という予想どおりのものでした。
ネット販売のいかにも怪しい商品に目に見える効果を期待するのもちょっとどうかと思いますが……。とはいえ世の中の誰かがそういった商品の効果をきちんと検証していくことが必要です。ただしそれには費用と手間がかかります。
http://www.kokusen.go.jp/test/data/s_test/n-20100421_1.html
巷には怪しい商品が溢れています。なかなかそのような商品を購入する機会はないと思いますが、実際に使った人から「効果が実感できなかった」などの相談が相次いだため、国センが「浴槽に鉱石やセラミックボールを入れるだけでラドン温泉・ラジウム温泉になる」と謳うインターネット上の販売商品を調査しています。
詳しくは国センの報告書 pdf も公開されているのでそちらを見ていただくとして、結論としては「家庭の浴槽に鉱石やセラミックボールを入れても、ラドンやラジウムが溶け出してこないものであり、温泉法の基準には大きく及ばない」という予想どおりのものでした。
ネット販売のいかにも怪しい商品に目に見える効果を期待するのもちょっとどうかと思いますが……。とはいえ世の中の誰かがそういった商品の効果をきちんと検証していくことが必要です。ただしそれには費用と手間がかかります。
トゴールさん
はてさて、どこから出てきたのかはわかりませんが、ネットで見かけた謎の「鉱石」がありましたのでご紹介します。効果の有無については言及いたしませんので各自のご判断で。
まずはメーカーと製品のご紹介。株式会社トゴール研究所
http://www.togoal.co.jp/
新潟県の栃尾又温泉で採掘される風化鉱物、トゴール・ウォームタイトなどを販売しています。
トゴールは高齢者福祉施設をはじめとして、コミュニティセンター、スポーツ施設ほかで使用されているそうです。
製品紹介のページをみると、"豊富なミナラルを含有するトゴール鉱石を粉末にあしたもので、短期間で効果の出る濃度に達し、入浴できます。" とのこと。日本語が既に怪しい。トゴール鉱石をサイコロ状にすることで溶解度を増して(?)湯の素としているらしい。
医薬部外品としても登録されており、12の効果・効能について表示が可能。
いったいこのトゴール・ウォームタイトとはどのような鉱物なのか確認してみましょう。
よくよくサイト内を調べてみると構成成分の記載がありました。
http://www.togoal.co.jp/togoal/whats_togoal.html
先には風化鉱物と紹介されていたのですが、鉱物組成をみると各種の珪酸塩鉱物と粘土鉱物類です。下の「化学組成」も表記が間違っています。
医薬部外品登録されているのに大丈夫なのか。
鉱物という語の定義については過去にいくつもの議論があり、例外もありますが、Nickel (1995) では
一般には自然に形成された無機物で、特定の化学組成と結晶構造を持つものとされています。鉱物の集合体は岩石であり、風化産物であるトゴール・ウォームタイトは上記鉱物の混合物であることから、鉱物と呼称するのは適切ではありません。
さらに鉱物と鉱石の違いについて紹介しようと思ったら既に togetter でまとめられていましたので紹介しておきます。
https://togetter.com/li/1102804
医薬部外品としても登録されており、12の効果・効能について表示が可能。
いったいこのトゴール・ウォームタイトとはどのような鉱物なのか確認してみましょう。
よくよくサイト内を調べてみると構成成分の記載がありました。
http://www.togoal.co.jp/togoal/whats_togoal.html
鉱物組成
石英、蛋白石、斜長石、モンモリロン石、雲母鉱物類、カオリン、緑泥石類、バーミキュライト
科学組成
珪酸、チタニウム、アルミニウム、鉄、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、バリウム、硫黄、リン、マンガン
先には風化鉱物と紹介されていたのですが、鉱物組成をみると各種の珪酸塩鉱物と粘土鉱物類です。下の「化学組成」も表記が間違っています。
医薬部外品登録されているのに大丈夫なのか。
鉱物という語の定義については過去にいくつもの議論があり、例外もありますが、Nickel (1995) では
A mineral substance is a naturally occurring solid that has been foemed by geological processes, either on earth or in extraterrestrial bodiesとされています。
一般には自然に形成された無機物で、特定の化学組成と結晶構造を持つものとされています。鉱物の集合体は岩石であり、風化産物であるトゴール・ウォームタイトは上記鉱物の混合物であることから、鉱物と呼称するのは適切ではありません。
さらに鉱物と鉱石の違いについて紹介しようと思ったら既に togetter でまとめられていましたので紹介しておきます。
https://togetter.com/li/1102804
サの道
トゴールについて調べていたら上野サウナ&カプセルホテル北欧のサイトが引っかかるではありませんか。サ道を観ていたら背景にも映り込んでおり、各所へのトゴールの広がりが感じられます。どのように受け取るかはあなた次第。効果を体験しに行ってはいかがでしょうか。
References