2020年8月16日日曜日

足湯

最終更新:2022年9月20日



天然ガスハイドレート

鉱物の中には籠状の構造を持ち、中に分子を取り込んだものがある。日本近海で多量に発見されたと報道されたことから一躍有名になったメタンハイドレート、吸着材量や分子ふるいとして用いられる沸石(zeolite)は籠状構造を持つ代表的な鉱物である。

天然に産するシリカ鉱物や天然ガスハイドレートの結晶構造には立方晶Ⅰ型、立方晶Ⅱ型、六方晶H型があり、水分子で籠が形成された天然ガスハイドレート、シリカで籠が形成されたシリカ鉱物ともに3種類全てが発見されている。籠状の結晶構造を持ち、中に別の分子を取り込んだ物質を包摂化合物(クラスレート)と呼び、結晶構造がシリカで構成されているものはシリカクラスレート(クラスラシル)と呼ばれる。

ゼオライトは内部に取り込んだ分子を交換することができるという性質を持つが、シリカクラスレートは籠の窓が小さいため分子の出入りができない(門馬, 2016)。


天然ガスガイドレートとシリカ鉱物の結晶構造(Ⅰ型、Ⅱ型、H型)(AIST (2011) より引用)


天然ガスハイドレートの多くはⅠ型のメタンハイドレートで、取り込まれているガスは微生物起源と考えられている。プレート境界や油田地帯では熱分解起源のより分子量の大きな天然ガスハイドレートも確認されている。
シリカ鉱物のうちⅠ型はメラノフロジャイトとして19世紀後半から知られていた。メラノフロジャイトはほぼメタンのみを取り込んでいる(高橋ほか, 2011)。当初の分析ではガス分子の炭素や硫黄は不純物であるとみなされており、クラスレートであると理解されるようになったのは1965年になってからであった(門馬, 2016; Kamb, 1965)。
Ⅱ型、H型は産総研により発見された。Ⅱ型の構造を持つシリカ鉱物は2011年2月に発見が公表され、その産地から千葉石と命名された。2014年にはH型の構造を持つシリカ鉱物が登録され、房総石と命名された。

千葉石

千葉石は千葉県南房総市荒川の採石場跡において、保田層群(23-14 Ma:斎藤, 1992など)を高角で切る幅数 cm の石英脈・方解石脈から発見された。無色透明~半透明の自形結晶でガラス光沢を持ち、劈開はない。保田層群は凝灰質砂岩・泥岩互層を主体とする海洋性堆積物で、嶺岡帯及びその周辺地域に分布している。形成環境については議論があるものの、付加体の一部であるとの説がある。脈の母岩となっている凝灰質砂岩・泥岩には火山ガラスが含まれており、これが千葉石にシリカを供給した可能性があると考えられている(高橋ほか, 2011)。
上記のとおり、天然ガスハイドレートに取り込まれたガスの起源は、微生物起源のメタンと、熱分解起源ガスの2種類が存在する。日本のようなプレート沈み込み境界は熱分解起源ガスの主要な発生源である。微生物起源のガスはほぼ純粋なメタンであるが、千葉石の中にはメタン以外にもエタン、プロパン、2-メチルプロパンが含まれていることから、熱分解起源ガスが取り込まれたものと考えられる。

千葉石は千葉県立中央博物館に常設展示されている。


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